Let's search for Tomorrow
駆け込んできた兵士の後から現れた神託の盾騎士には目を見開いて、先程渡された短剣を握り締めた。だが、よりもガイやジェイド、ティアがすばやく攻撃したおかげで、の出番は無くなった。 「やはり、イオン様をキムラスカに行かせまいと…?」 そういうことですね。とジェイドがガイに頷く。 船の甲板後方へ辿り着くと、神託の盾六神将の一人、ディストが空中を漂う椅子に腰掛け、達を見下ろしていた。 「おや、鼻垂れディストじゃないですか。」 アニスが死神でしょ、と補足するとディストはだまらっしゃい!と一蹴して薔薇のディストと言い直した。は思わず溜息が出た。 「ん?どうした、。」 そう言ってみたもののルークが訝しげに視線を送ってくるので苦笑して答えた。 「…ディストって確か、ジェイド大佐と同じくらいのお歳なんですよね。子供が駄々こねてる様にしか見えなくて。」 あぁ?と片眉を動かしたルークを宥めつつ、は地獄耳め!と心の中で悪態吐いた。 「まぁ、いいでしょう。そんな事より、音譜盤の解析データをだしなさい。」 これですか?とジェイドが懐からデータを取り出すや否や、ディストは目にも留まらぬ素早さでジェイドの手から奪い取った。 「ふふ、油断しましたね、ジェイド。」 わぁ、とは感嘆をあげた。馴染みが無い文字だとはいえ、書いてある内容はかなり専門知識の要るもので、複雑だったはずだ。 「きーっ!猿が私を小馬鹿にして!!もう許しませんよ!船共々此処で海の藻屑となりなさい!―――行きなさい!私の可愛いカイザーディストR!!」 どこから現れたのか。上空より突如現れた機械には思わず悲鳴を上げた。それが着地した衝撃で船が大きく揺れ、潮が吹き上がる。 「皆さん気をつけてください!アニスはイオン様を!、あなたは私の後ろへ!」 は渡された短剣を鞘から抜き出し、銀色に光る刃を敵に向けていたがジェイドに後ろへ下がるよう指示され、従った。見上げる程大きな図体をした音機関は幾つもの銃を持っていていつでも火を吹かす事が出来た。 「イオン様、。もう少し後ろへ下がってください。」 ジェイドが二人へ指示を出し、唱えていた譜術を発動させた。音機関の丁度真下に譜陣が現れ、水が勢いよく噴出した。音機関は奇怪な音を上げて、動きが鈍くなる。 「き〜っ!陰険ジェイド!私の可愛いカイザーディストRが水に弱いと知っていて…!」 にこりとジェイドがディストに笑顔を向けると、ディストの顔はますます赤くなった。 「なんだかジェイド大佐、ディストさんで遊んでますよね…。」 音機関は耳障りな音を上げているが、いっこうに倒れようとしない。さらには、方向を変えることが出来ず、イオンとがいる方へ向かって突進してきた。 「しまった!」 はとっさにイオンの手を握り、瞼をきつく閉じた。誰かが叫んだ後、優しい旋律の声がした。体の内側がほんのり温かくなり、母親の腕の中に居る様な安心感を覚えた。 『―――を解放せよ!』 あの時の声がうるさくの頭の中に響き、それを振り払うかのようには唱えた。 「ヴァ ネゥ ヴァ レイ ヴァ ネゥ ヴァ ズェ レイ。」 幾つもの光の筋が、上空から音機関目掛けて降ってくる。それは目を開けていられないほどの閃光を放ち、音機関に衝突した。 「…ユリアの譜歌…ですね。」 ジェイドが呟き、ティアが驚愕の表情のまま同意した。 「なんだよ、敵倒したんだからいーんじゃねぇ?そんなにユリアの譜歌?ってのが大事なのかよ、」 物言いたそうにアニスが口をぱくぱくさせたが、ジェイドの一声に皆頷き、到着までの間を自由行動にして解散した。 「、大丈夫ですか?」 は未だに呆然とイオンの手を握っていた。彼はとても懐かしい感じがして、離すのが嫌だと思った。 「イオン様、の事何か知ってるんですか?」 アニスが訝しげにイオンを覗き込んだ。イオンは苦笑して首を縦に振る。 「それは陛下の御前で言います。アニス、すいません。」 アニスは力いっぱい首を横に振って、謝らないで下さい〜と言うしかなかった。
*20060308*
アトガキ。 えと、更新が遅くなってゴメンナサイ。ブログ読んでくださってる人はご存知かもしれませんが、只今北京に留学中でございます。
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