Let's search for Tomorrow
大広間の奥の部屋の隠し扉をくぐって、四人は再び音機関の前にいた。 「さて、お嬢さんから始めましょうか。」 ディストの言葉に逆らうことが出来ず、は言われるまま装置の中央に身を横たえた。 『我――に―――よ。――声に応――。』 脳に直接語りかけるように、声が木霊した。しかし、フィルター越しのように声がはっきりしない。 『我――ーレライ。ユリ――鍵―――て離――。』 の声も虚しく、声は聞こえなくなった。同時に光が消え、ディストがもういいですよと声をかける。頭の中に白い靄がかかった様に、身体全体に気だるさを感じた。 「おい、情報を引き出すとこうなるのか?」 ディストは肩をすくめて両手を肩の高さにまで上げた。 「ルーク!!」 シンクはライガの上に未だ乗っているをその場に下ろし、ディストから音譜盤を受け取り懐に入れた。ライガとディストは既に姿を消している。シンクはもう一度舌打ちして、あのオッサン…!と悪態吐くと身を翻して逃走を図った。 「待ちやがれッ!」 ガイはシンクに向かって切りかかる。正面から切りかかってきたのを右にひらりとかわすと、左下から右上にかけての払い攻撃を腕に仕込んでいた短刀で受け、相殺する。だが、最後に力押しされシンクの仮面が飛んだ。 「っ?!」 シンクは身を翻して仮面を拾い、再びつけた。ガイはその下の顔を目撃し声を失っている。近くにいたもシンクの顔を見た。誰かに似ていると思った。 「ルーク!っ!大丈夫?!」 後から来たジェイド達をみて、シンクは姿を消した。ガイの手には先程の音譜版。ティアはルークの下へ。アニスはの意識を確認している。 「…この症状は…!」 そうですか、とジェイドはいって押し黙る。 (連中はなぜがいることを知っていた?突然現れたこの少女のことを…。) というわけでガイ、をおぶってやりなさい、とジェイドは爆弾を投下して先に屋上へ続く階段を上り始めた。 「そりゃないぜ〜!俺が苦手なの、知ってるだろ?!」 少しだけ、空気が和んだ。 「……。ユリアは一体どこまで預言を…。」 アリエッタの膝が地面につく。魔物も力尽き、地面に横たわった。その時、やはりここか、と男が現れた。 「ヴァン師匠!」 ヴァン・グランツが眉を寄せる。ルークが師匠と呼ぶのに応え、イオンへと向き直る。 「カイツールへ向かったら導師達は着ていないといわれ、心配しましたぞ。」 ヴァンがイオンの傍でぐったりしている少女を見据える。一瞬瞳が輝いたように見えた。 「彼女はといって、信じ難い話ですが異世界から来たようなんです。先程、ルークと共に攫われ、助けに行ったときにはこのような状態に…。」 えー、かったりぃ。と不平をもらすルークにヴァンは破顔して一言いう。 「これも修行だ。」 誰が一番に噴出したか解らないが、笑い声が屋上に響いた。 「あ、…りが、と…。」
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カイツールの軍港に着くと、船の修理は機関部を残すのみと、急ピッチで進められていた。助け出された整備隊長は仲間に迎え入れられ、少し休んでからすぐに作業に戻ると言って、作業場へ走り去った。 「出向は明日になるだろう。少女も休ませねばならんし、簡易施設だが、ゆっくりなさい。」 ヴァンはアリエッタを連れてその場を離れた。 「ルーク、を休ませてあげましょう。」 ティアが最初に簡易施設に入り、ルークもそれに続く。ベットにを横たわらせ、離れようとして異変に気付いた。 「ぷぷっ、ったらアニスのルーク様の事、気に入っちゃったみたい〜。」 ルークの言葉に、全員肩を落として息を吐いた。 「…これだからお坊ちゃんは…。ま、ルークなら大丈夫でしょう。」 やれやれ、とジェイドが肩をすくめて部屋を出て行った。何がだ、とジェイドに向けたが、にやりと笑みを返されただけだった。ガイとアニスが声を上げて笑い、イオンは苦笑、ティアは少し顔を赤らめて、大佐のばか、と呟いた。 「お、おい!どうするんだよ、これ!」 逆だろー?!とルークが叫ぶのを笑って、ティア、アニス、ガイも部屋を出て行った。イオンは苦笑しただけで、アニスに連れられて一緒に出て行った。 「お、父様…おか…様…。」 ルーク、ミュウとだけになった部屋に、の寝言が木霊した。未だにぎゅっときつくルークの服の裾を握り締めている。 「なんで、懐かしいって思うんだろう…。」 隣のベットから掛け布団を引っ張って身体に巻きつけると、ルークはが横たわるベットにもたれたまま、いつの間にか眠りについた。
*20060204*
アトガキ。 難産パート2でございます(汗
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