Let's search for Tomorrow
森を抜ければ、コーラル城はすぐだった。 「ようやく着いたな。」 ルークの言葉には心の中で大きく賛同した。 「、大丈夫ですか?」 突然声をかけられ、は身体を震わせたが、イオンからの労いにほっとする。イオンはクスクスと笑った。 「大丈夫です。…僕は、確かに周りのものから立場上敬意をはらった呼ばれ方をしていますが、にその必要はありませんよ。どうか、イオンと呼んでください。」 も破顔して頷いた。 コーラル城を目前にして、は息を飲んだ。 「おーい行くぞ!」 ルークが立ち止まっていたイオンとに声をかける。はい、と返事して小走りで追いかけた。 「どうだ、ルーク。何か思い出したか?」 コーラル城の大広間で、ルークとガイの会話を静かに聞きはそうだ、と思い返す。 乱れた書斎の奥の隠し扉を開けると、さらに奥に続いていた。ちらりと見えた魔物の尾。誘導しているのか、また挑発しているのか…真意は解らないが今までの部屋に整備隊長がいなかったことから進むしかなかった。 「これは…!」 扉をくぐって、階段を下りるとそこには大きな装置が我が物顔で設置されていた。はその音機関を見上げる。隣でジェイドも同じように見上げていて、息を吐いたのを聞いた。 「どうかしたのですか?」 は小さく息を吐いた。あまり詳しく知っているわけではないので、後々ジェイドから話される事を願った。ジェイドは何を考えているのか、押し黙って音機関を見上げていた。 「うわあああぁっ!」 悲鳴が鼓膜を叩いて、は音機関から音源へと視線を移した。武器も持っていないというのに、身についた習性のせいか、身構えた。ジェイドがほぅと頷き、ティアも目を丸くする。 「いたたたた、」 は身体の力を抜いて、アニスに手を貸した。依然としてガイは数歩離れたところで震えている。なんとも滑稽な絵面だ。ルークが忘れてた、といわんばかりに補足した説明にガイは辛うじて、女性恐怖症なんだ!と訂正した。 「それにしても、異常なまでの怖がりようですね。」 ジェイドの眼鏡の奥の瞳が光を灯した。前半の答えはティアに、後半はガイに向けて言うと、苦笑した笑みが帰ってきた。はもう一度音機関を見上げる。 「一朝一夕で治るものでもありませんし、先を急ぎましょうか。」 何かと話題についていけないルークがジェイドに吠えた。ジェイドは憶測で話したくない、といって、先を進む。そんな態度にガイ、イオン、アニスは珍しい、と口を揃えた。 階段を上り詰めて、屋上が近づいてくると、ルークの足が速くなった。逆に、は息が荒い。体力には自信があったが、日頃あまり階段を使っていない事を思い出し、自嘲した。 「―――屋上だ!」 ルークが弾んだ声を上げて、階段を一気に駆け上がる。アニス、イオンがそれに続き、苦笑してジェイド、ガイも続いた。 「、辛そうね。」 ティアとミュウがに付き添い、屋上へ着いた時にはルークとアニスが魔物にさらわれ、空を旋回している時だった。 「ルークッ!アニスッ!」 イオンを庇うように、ガイが前へ出てアリエッタと対峙する。が乱れた息を整える暇も無くイオンの元へ駆け寄ろうとした時、突如浮遊感が襲った。 「〜っ!痛ったぁっい!根暗ッタ、何するのよっ!」 は自身に何が起こったのか、まったく把握できていなかった。ただ、全身に風を感じて、地面が遠くに見えた。隣でルークが小さなうめき声を上げている。大きな鍵爪がルークを掴んでおり、同じくも掴んでいた。魔物は挑発するようにみんながいる屋上を二度旋回し、コーラル城の入り口へと向かう。 「おや、情けないですねぇ。数度空を旋回しただけで気を失うとは。」 シンクは気を失ったルークを持ち上げ、ライガの背中に乗せると先に中へ入っていった。残されたは逃げ出すわけにも行かず、おとなしくディストについて、中へ入った。
*20060202*
アトガキ。 難産でした…。そして、一回で終わらすつもりのコーラル城が結局二回に…_| ̄|○
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