=六=






泰明と頼久はどう感じたかは判らないが、言葉が通じたことで心に少し余裕ができた。

「ダンブルドア・・・さん?ここは一体どこなんですか?」

二人の間からではあるが、話かける。
このとき老人は一瞬不思議気な顔をしたが、すぐに先程までの柔和な表情に戻った。

「ここはホグワーツ魔法学校の敷地じゃ。歓迎するぞ、客人。こちらじゃ」

いや・・・、別にそういうことを聞きたいわけじゃなくって・・・・・・・
は地理的に場所を聞きたかったのだが、ダンブルドアは勝手に話を終わらせ足を建物に進めていて、追求出来る状況ではなくなっていた。
小さくため息を付き、泰明と頼久を見上げる。
二人はダンブルドアが背を向けた時点で構えを解いており、振り返り、無言で意見を求めるよう主を見つめていた。

(まぁ、ここで付いて行って危害をくわえられるってわけじゃなさそうだし・・・ね)

「お互い話をするってことは大事ですよね?」

不安はあるものの、とりあえず今はこの人に付いて行き、話を聞くことにすることにしよう。後で過ちだとわかったとしても、やりなおすことができるはずだから・・・・・・。
いつしかのことを思い出しながら、は歩を進めた。






三人は城にしか見えない、学校と呼ばれた建物の中へと通された。
先を行くダンブルドアは滞ることも振り返ることもなく、すたすたと進んで行く。
長い廊下に沢山のドア。そのどれもが大きく、時代を感じさせる装いでなんだか、博物館にでも来たかのように思えてくる。
老人と絨毯に導かれ行くと、さっきまで建物の中を通っていたのに、今度は広場に沿った石造りの柱が立て並ぶ通路にでてみたり。いくつも分かれ道があり、その各所には見たこともない植物の鉢が置かれていて・・・
入ったが最後、地図があったとしても脱出などできない迷宮を連れ回されている気分になった。
もちろん泰明、頼久が同行しているからこそ安心できるというもの。
冷や汗ものである。

珍しく開かれている部屋を見つけた。
横手に大きく開かれたドア、その中にはテレビで見る教会の様な内装と4つの長いテーブルが見えた。

「神子殿、この者の言うことを信じてよいものでしょうか?あの・・・鬼なのでは・・・」

のすぐ脇に付いている頼久がうち耳する。
頼久からしてみれば、京とは異なる着物に、急に現れたり、言葉が通じたり。そう考えてもおかしくない。

「京でも言いましたけど、鬼じゃなくてもこういう髪の色の人はいるんです」
「詩紋殿の様に・・ですか?」
「詩紋君はクォーターですけどね。多分これから人に会うとしたら殆どがそうだと思いますよ」
「・・・・・・・・・───」

あえては全部を否定しなかった。
確かに、外見で判断するのはよくない。だが、京で鬼と呼ばれていた人間達は、欧米人の特徴を多く有していた。あの人達の起源がもしかしたらここにあるのかもしれない。

眉間にしわを寄せ、いまいち納得出来てはいない様に見えるのが気にかかるものの、とりあえずはストップをかけておく。
何も問題が起こらなければいいのだが・・・・


短い会話を終え、少し歩いた所で一度足を止めた。
奥の曲がり角から男が一人、姿を現したのだ。今までダンブルドアと名乗る老人以外を見ることがなかったため、他に人がいることに少し驚いた。
その人はすれ違いざまにダンブルドアに少し会釈して、横を通り過ぎていった。
仄かに臭った薬剤の匂いがを懐かしい気分にさせる。




(──────!!)




鋭い目線を感じ、体が緊張を覚えた。




(後ろ?!)




すぐさま振り返る。
すでに見られているという感覚はなくなっていたが、確認せずにはいられなかったのだ。

「神子殿、如何なされましたか?」
「ん・・あっ、別になんでもありません」

不意の行動に気付いた頼久が柄に手をかけて周囲を探った。

気のせいみたいです。と、頼久には笑って答えた。が、なんとも腑に落ちないというか・・・・・・胸騒ぎがする。
体の向きを変え前を向こうと足をひくと、ふと先程の男が視野に入り、目があった。





遅れた距離を駆け足で縮めると、そのまま進むこと十数分。
その間に他の人には会わず、先程の気配も気のせいだろうと収めることにしたところである一室に辿り着いた。

ダンブルドアに進められるまま部屋へと足を進めると、大きな部屋の割合に小さなソファーとテーブルがちょこんと置かれていた。

「まぁ掛けたまえ」

のんびりとした口調で言われる。
先に入ったダンブルドアは長い裾と髭を体の下敷きにしないよう器用に、且つさっさとソファーに座っていた。
はこの親切すぎる老人に少し不快感を覚えながらも、言われるとおりソファーへ体を沈める。頼久と泰明も初めて見る"座するもの"を不思議に思いつつも、を真似て座った。

「さてと、君らは異世界からの訪問者のようだが?」

2人が座ったと同時に、フォッフォッと自らの髭と戯れながらダンブルドアは楽しそうに言った。





もうどうにでもなれ状態ですな。
書きたいことばっかりで、それを繋ぐ言葉が出てこないといいますか;
勉強&経験が足りないと再確認。

主人公等はバックに龍神というすんごいものを持ってますんで、ここらからすんごいことになっていきます。
                                                2005.05.19up