=参 神子side=




四人はを先頭に進んでいた。
外から見た時は白濁としていた穴であったが、いざ入るとそれは、薄く様々な色が主張し合って出来ている様だ。

道無き道を無言で進んでいく。





『・・・クナ・』





(えっ?)
どこからともなく声が聞こえた気がした。は周りを見回すが、何も変化はない。

「ねぇ、今何かきこ──」
確認をとろうと、同行している三人を振り返る。
しかし、そこに居るはずの天真,詩紋,蘭の姿はなく、名残さえ見あたらない。
まるで最初から自分しかこの場に居なかったかの様、消え去ってしまっていた。

(そんな・・・・・・)
さっきまで向いていた方向へと視線を戻しても、求めるものは映らない。
しかも、今まで進んでいた方向もわからなくなってしまったのだ。


そんな時──。



「・・・ダ・・・・ブラ」



聞こえた。
今度ははっきりと聞こえた。
何と言っているのかまでは判らない。でも確かに音が耳を通じた。







っ────!!!







途端に気が遠くなった。
足はふらつくし、体が重く、思うように動かない。
すでに自分の身体がどうなっているのかもわからない。前後感覚が麻痺しているようで、自立出来ているのかさえわからないのだ。




(この感じ・・・前・・にも・・・・・・。八弦・・・・・・琴の・・・時・・に・・・・・)

体の異変に、頭は過去の出来事をはじきだした。とはいえ、抵抗が出来るわけではない。
口元にあたる毛先で、は自分が倒れたのだということを知った。





(私・・・どう・・な・・・る・・・・・・──。)





一度はあがった瞼も少しずつ降り始める。





もう殆ど閉じ、全ての光を遮断しかけた

その時










リィー・・・・・ン・・・・・・。










聞き慣れた、涼やかな鈴の音が鳴り響いた。





「龍・・・神・・・・・・」
完全に意識を手放す前に、掠れ声ながらも呟く。




















『行クナ!戻レ、神子!!』




















無音の世界に空しく響く鈴と声。聴く者は誰もいない。
倒れ込んだから発せられた光が、羽根の形を取り、一枚一枚、守るように優しく包み重なってゆくだけ。

























その頃の、見知らぬ世界。

民家が疎らに並ぶ簡素な土地ではあるが、それでも異常な静けさが、赤ん坊の泣き声を強調している。

足下では二人の魔法使いが重なり倒れ、すでに事切れていた。


雷鳴が轟き、空には奇怪な雲が浮かぶ。





さて、次から魔法界ですねw
今回のでわかった方もいるのではと思いますが、龍神は基本的に『』書きでカタカナです。
更に、頭に直接降りてくるもので、聴覚を介しません。
・・・ということは〜・・・・・
というのがこれからのポイントなところなのです。

補足
京五人(イノリ・鷹通・友雅・永泉・藤姫)は晴明のもとに向かいます。
晴明は泰明が時空を越えた事に気づいており、五人と話し合い「泰明の気を探ってみよう」と。
いくらかたったあとに、虹の化身が晴明に龍神の言葉を伝えます。                  2005.04.19up