=参 京side=
ら四人が入って行った穴を見つめる京人。
「龍神。どうか神子様方を無事に御届け下さいますよう」
友雅の隣で、星の姫が懸命に祈る。
皆の前に大きな口を開けていた時空の穴は、小さく縮し、黒い塊へと戻る。それもやがてどこにあったか判らないまでに小さくなり、消えた。
「とうとう行ってしまわれた」
「京は安泰となったというのに、それさえ恨めしい」
いつも漂泊としている友雅でさえ苦渋の色をさらけ出し、鷹通の硬く結ばれた拳は蒼白だ。
「・・・」
「神子殿・・・」
「・・・・・・・・・」
言葉少なくつぶやくイノリと永泉。
無言の頼久も、今までずっと一番近くで守ってきた可弱く、そして誰よりも心の強い人だった主人の帰郷に心が締め付けられる。
(宝玉を通しても神子の気が感じられぬか・・・)
泰明は己の右頬、目尻近くの宝玉に触れた。
(もう二度と感じ取ることはできない・・・。二度と・・・・・・)
漠然とした何かを胸を占めた。が、それも捉えることができないままに札を回収しようと膝を折る。
その瞬間
(何っ!!)
「──────っ!」
二人は己の身体から発せられる光と神気に息を呑んだ。
!!!!!!
あまりの眩しさと、いきなりの出来事に五人は袖をかざした。
「頼久っ!泰明殿!」
藤姫が叫んだのも束の間、二人の身体は光と共に次第に薄くなり、かき消えてしまった。
日が昇り始めた頃に始めたこの行いも、太陽はすでに晴れた空の彼方。
秋が近くなりつつある風は冷たく、草木を揺らす。
(今のは一体・・・)
常より高い霊力を有していた永泉だけが、何か手がかりをつかんでいた。
二人から光が発せられた瞬間に聴いたもの。
龍神の咆哮を──────
『行クナ』
と。
残された五人は、札のあったであろう場所を見つめ、固唾を呑んだ。
泰明さんと頼久さん、飛ばされちゃいました(苦笑
さてどこへでしょうねぇ♪
二人の選びは、完全にらびの好みなんですが、後々意味を持たせる予定です。 2005.04.12up
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