Reginleif
#Extra attraction 1 -first impression- vol.2
後日、アスランは再びクライン邸を訪れた。パトリックに言われたから、というのもあるがラクスと一緒にいるに興味を持った。
―――他人に興味を持つなんて…。アスランはひとりごちた。全くもって自分らしくない。
<<ハロ!ゲンキ!!>>
「まぁ!なんですの、これは?」
「えーと、ハロ、です。」
部屋に通され、手に持っていたものをラクスへ手渡す。電源を入れるとそれは声を発して飛び跳ねた。
<<ハロ〜?ラクス!アーソーボ?>>
「まぁ、私と?!」
ラクスは満面に笑みを浮かべてはしゃいでいる。そこへコンコンとドアをノックする音が聞こえてが入ってきた。
「失礼します。あ、お久しぶりですアスラン様。」
「あ、あぁ、も…、お久しぶりです。」
何故だか判らないが、アスランは顔が熱くなるのを感じた。の笑顔を見るといつもそうなる。
「アレはアスラン様がラクスに?」
がそう言って指差す方にはラクスと戯れるピンク色の球体。
「あぁ、そうです。もしかしたら、こうゆうのお好きかな、と思いまして。」
「アスラン様の読みは正解です。ラクスったらもうすぐ成人を迎えるというのにいつまでもあのような調子で。…けど、そこがラクスのいいところですけどね。」
はラクスを見つめ、柔らかく微笑む。アスランも笑みを浮かべた。
「あ、私ったら!アスラン様、どうぞおかけください。ラクス!ここにお茶を置いときますね。」
「も一緒に遊びませんか?アスランがくださったハロと一緒に!」
「私はまだやる事が残っておりますので。…それでは、失礼します。」
「あ、待って、」
アスランは立ち去ろうとしたの手を咄嗟に掴んだ。
「あ、いや、その…。が忙しいの承知だが、ラクスがあのようなので、少し話し相手になってもらえませんか?」
「え、でも…。」
「!私、このピンクちゃんと庭で遊んでまいりますわ!アスランと少しお話なさっててください。」
ラクスはの返事も聞かずに庭へ出て行ってしまった。
普段は聞き分けのいいラクスもこんなところで見事なお嬢様っぷりを発揮してくれる。ははぁ、と小さく溜息をこぼしてアスランの向かい側に座った。
「テレビとは違って我が侭なお姫様でしょう?」
苦笑するに、アスランも破顔して頷いた。突拍子もないけれど、嫌いではない。それは幼馴染と似ていたからかもしれない。
「は…俺、じゃなくて僕や彼女と同じ歳くらいに見えるのだけれど、」
「言葉遣いなど気にしないでください。貴方と私では立場が違います。―――そうです、私も十四です。」
「じゃあ、遠慮なく…。―――どうしてクライン家の使用人に?」
「両親が仕事の関係であっちこっちに放浪していて…。クライン家とは昔ながらの付き合いだそうです。それで小さい頃からここで暮らしています。
私が働かせていただいてるのは、少しでもシーゲル様に恩を返したいから…。幼い私には家事を手伝うことしか出来なくて。
シーゲル様やラクスはそんなことしなくていい!って仰って下さるけど。」
はどうして自分の身の上話をしているのか不思議だった。会ってまだ二回目の彼に。名義上、ラクスの婚約者、という彼に。
けれど、アスランには自分を知っていてほしいと思う気持ちが心のどこかにあったのだと思う。―――彼はの対の遺伝子を持つ人だから。
アスランは適当に相槌を打っての話に耳を傾けていた。これで、自分と同じ歳だということが信じられなかった。それほど彼女はしっかりしている。
「…無理言って仕事を頂いてるんです。そうでもしないとここに私の居場所が無いような気がして。
シーゲル様も、ラクスも、本当の家族のように接してくれるけど、私にはちゃんと両親がいるし…。
けれど本当は両親に構ってもらえない事が寂しい…。それを紛らわしたいから、使用人としての私がいるんだと思います。」
「俺の父上も、母上も忙しい人だからのそんな気持ちが良く解るよ。
以前、月で暮らしていたことがあったんだ。父上はプラントで、母上と二人で月に来たのに母上もユニウスセブンでの研究があるといって家を空けがちで。
俺はいつも一人だった。けど、隣で暮らしている家族と知り合ってから寂しさが紛れたな…。」
「私達、どこか似てますね。」
「そう、だな…。」
二人はふ、と笑い合った。
「あら?お二人ともどうなさったのですか?」
ハロを片手にラクスは戻ってきた。笑いあってる二人を目にして首を傾げる。
「なんでもありませんよ、ラクス。それよりも!貴方の婚約者様でしょう?ほったらかしで遊びに行くなんて、アスラン様に失礼ですよ。」
「い、いえ、おれ…僕は気にしてません。それよりも、ハロを気に入って頂けて良かった。」
「ごめんなさい、アスラン。本当にありがとうございます。…この子が婚約の贈り物ですの?」
「え?!いや、その…。」
ズキン、と心が痛んだ気がした。は二人に気づかれないように首を傾げる。
「ふふふ。そうですわね、まだちょっと早すぎますものね。私達、いろいろと…。これからゆっくりと話し合っていけばいいですわね。」
「そう、ですね…。」
「そうですよ!今後はこのようなことないようにして下さいね。お二人はプラントの希望、なんですから。」
にこりとは笑う。―――上手く、笑えただろうか?
アスランもラクスもにつられて笑みを浮かべた。
「それじゃあ、僕はそろそろお暇させていただきます。長い間お邪魔してすみません。」
「とんでもありませんわ。どうぞ、またいらしてくださいな。」
「ええ、必ず。話し相手になってくれてありがとう、。」
「私の方こそ…、ありがとうございました。」
とラクスは以前と同じように門までアスランを見送った。
小さくなっていくエレカをはずっと見つめる。彼と過ごした時間はラクスと過ごしている時とは違う温もりがあった。
―――私と同じ境遇だから?
似たもの同士、だからかもしれない。立場は違えど、遺伝子が対なのはラクスではなくなのだ。
「?部屋へ戻りましょう!」
「ええ、今行きます。」
後ろ髪引かれる思いで彼の運転するエレカが走り去った方を見つめる。
がこの想いの名を知るのは、もう少し後――――――。
BACK D*TOP
+++后記
アスランとの出会い&恋心編でした。
な、難産でした…。ドラマCD聴きながら必死で書き上げる。…のに二日。(滝汗
文章にするととてつもなく難しかったです。頭の中ではあんなこと、こんなこといっぱい思いつくのに…。
(6/9/05)